■2005年F1日本GP観戦記■

土曜日。

 一夜明けて土曜日。

 前日夜から降り続いた雨がしつこく残る、あいにくの天気。昨年のような暴風雨ではないけれど、雨の降り方も突如強くなったり弱くなったり、と落ち着かない。

 この日は、昨年、一昨年と見られなかったエリアを少しでも埋めるべく、単身ヘアピンの自由席へ。
 が、ただでさえ自由席はスタンドの増設でエリアが狭くなっている上、木曜日から既に敷かれていたと思われる場所取りシートでびっしり。いっそシートの隙間で立ち見してようと思ったのですが後から来た場所取りの主に邪険にされるわで(苦笑)、仕方ないので通路から立ち見。
 『ここは通路ですので立ち止まらないでくださーい』という係のにーちゃんの声も空しく、走行開始が近付くにつれて通路はどんどん人だかりが増える一方でした。

 と、やっぱりヘアピン自由席の中を場所探してうろうろしているaishaさんを発見! 速攻大声で呼ぶ(笑)。


 丁度、フリー走行開始直前に雨脚が一段と強くなる。防水パーカーの上からポンチョも着て、更に傘も差してはいたんだけど、風が強いせいで容赦なく雨が染み込んでくる。雨対策の重要さは昨年思い知ったはずだったけど、まだまだ対策が甘かった…。
 近くに雨をしのげるような場所もなかったので、一眼レフを出すのは早々に諦め、写真はデジカメで撮ることに。

 そんなわけでぼけぼけの画質ですみません。ヘアピン立ち上がるライコネン(だよね?)。

 このまま予選も雨になると踏んだチームも多いのか、何処も積極的に周回を重ねている。んが、
 『あーっと! ミハエル・シューマッハS字でコースアウトー!!』

 咄嗟にヘアピン入り口にあるサーキットビジョンを見ると、ミハエルが無残にタイヤバリアに突っ込んで、マシンを降りる姿が映っていた。


 そうこうしているうちに雨脚はどんどん強くなり、 とうとう全車ピットに戻ってしまった。雨に打たれて寒さですっかり音を上げたわしは、
『もうじっと立ってるのやだ、しんどい! 歩こう!!』
…といい歳こいて駄々をこね、 観戦を諦めて、探索を兼ねてコース脇を歩くことに。


 ヘアピンから出発して、西コースを奥へ奥へと歩いていき、丁度200Rに差し掛かって視界が開けたあたりで、再びマシンの音が聞こえ始めました。
 行ってみて分かったのだが、このあたりは金網が2重になっているのを除けばそれこそコースが目の前なので、
 耳が壊れそうになるくらいの爆音で全身鳥肌が立った。体で感じる最後のV10サウンド。

『うわー、コースがめちゃくちゃ近いー!』
それはもう大リーガーが村にやってきた野球少年のごとく(笑)、目の前をびゅんびゅん通り過ぎるマシンに2人で金網に張り付いて大はしゃぎ。
 コンデジでズーム使わなくてもこの距離ですよ(多分カーティケヤン)。


 写真を意識しないと、レースを見るのが物凄く楽になった。


 と、そんな調子で雨の中てくてく歩いていたら、鈴鹿最奥の地と言われる(笑)スプーンカーブにいつのまにか到着。
 スプーンをぐるっと取り囲む自由席は、きちんと段差もつけられていて、しかも遅れてきたにもかかわらず、2人で並んで座るには十分な余裕もありました。
 比較的フェンスも低いので、ここなら自由席でも写真それなりに撮れそうだなー、と思ったり。
 スプーンの入り口側と出口側で見えるものも違いそうだし、来年、天気がよかったらまたこようかな。
スプーンの入り口側から。
うまくすれば、立ち上がる所の水しぶきに映りこむテールランプも撮れるので、
写真撮るのにいい感じの場所かも。
(ちなみにこれ、マッサちゃんです。遠目で分かりにくいですが)


 が、ここにきてデジカメが雨のせいか『一度シャッター切っただけで勝手に連続撮影を始める』という大暴走を始めてしまい、
 写真撮るより余計なコマを消すのに必死でしたが(汗)。


 遠い遠いと散々言われてたので今まで尻込みしてたのですが、偶然とは言え思い切って行ってみて良かったです。
 お昼にお会いしたRIHOさんには『あんな所まで行って来たのー?!』と唖然とされましたが。

 んで、フリー走行開始早々にクラッシュしたミハエルは。
 午前中S2で観戦していたハルさんに様子を聞いたら、FP4の間、ミハエルのガレージはシャッターが降りたままだったそうで。
『突貫工事で直して予選走るんですかねえ』
『もしかしたらスペアカーかもしれませんね』
 …いずれにせよ、予選に向けて明るい状況でないのは確かだったわけで。

 あーそーそー、フリーで思い出した。
 カーティケヤンがもしかしたらFP4トップだったかも知れないんですよね。
 最後の最後にフィジコにタイム塗り替えられてちょっとずっこけたけど(笑)。でもジョーダンはどっちもいっぱい走ってたし、頑張ってたよね。


 さて予選。

 夕方からトヨタのFCでオフサイトミーティングがあるため、しかもその会場がサーキット内でなくて白子の駅前なので(汗)、
 (抽選外れて他の人に誘ってもらった身で贅沢言うのもアレですが)
 道路の混雑とか考えたら早めに出なくてはいけないかもしれない。
 なので、ハルさんと2人で、 Aスタンド脇の自由席、というか通路脇の芝生に陣取って観戦。
 金網越しの遠めとは言え、最終コーナーを一気に駆け下りてくるマシンはなかなか迫力がありました。
 (遠目にだけど一応ビジョンも見えたし)
こんな感じ。

 いきなりモンテイロがコースアウトしたり(汗)、ウェーバーがまずまずのアタックでほっとしたり、クルサードの暫定トップタイムがなかなか更新されなかったり(笑)、
 そんなこんなのうちに、回ってきました、トゥルーリの番。
 正直、ここまでの流れは決して良くはなかった。 でも今まで、予選で何度も奇跡を起こしてきた人だ。だから今回も、もしかしたら。
 最終コーナーを駆け抜けていくマシンを、祈りながら見送った。


 セクター1を通過。遠目にマイナス表示を表す緑色が見える。が、次の瞬間。

 『あーっと!! ヤルノ・トゥルーリコースアウトー!!』
 デグナー2つ目でスピンして、サンドトラップの中であさっての方向を向いて止まっている赤と白のマシンがビジョンに映っていた。

 …折りたたみ椅子、持ってきておいて正解だったわ。

 呆然とその場に座り込む以外、できなかった。


 …なもんで、その後の予選ついては記憶が殆どありません。
 覚えているのは、琢磨の暫定トップに周囲がどっと沸きあがる中、わしとハルさんだけシーンとしていたことと、
 その直後にクリエンがタイムを塗り替えてトップにきた時に、わしら二人だけハイタッチまでして喜んでいた事(笑)。
アタック中の琢磨。

 道路の混雑が心配なので、ハルさん本命のミハエルのアタックが終わったらタクシー乗り場に移動しよう、と決めていたのですが、
 そのミハエルのアタックが近付いてくるにつれて、一時小康状態を保っていた雨がまた降り始めた。
 ミハエルの前にアタックしたフィジコが、最終セクターで遅れる。それでも何とか3番手。

 『ハルさん、行こう』
 ミハエルが暫定14位のタイムを出したのを確認して、荷物を纏めて立ち上がる。
 大急ぎでタクシー乗り場へ向かう途中、トヨタのブースの大型ビジョンで、アロンソが暫定16位で通過したのを見た。
 後から合流したaishaさんとRIHOさんに教えてもらって初めて、ラルフがPPを獲ったのを知った。

 そして、トゥルーリアタックラップ、実は2コーナーでミスっていたことも。
 『あそこからリズムが崩れて立て直せなかったのかも』とはRIHOさんの弁。


 タクシーの中でも、オフミの会場に着いてからも、予選を思い出しては溜息ばかりついていた。
 2年前、初めて鈴鹿に来たときも、予選で雨に祟られてアタックできなかった。
 あの時は不運としか言いようが無かったかもしれないけれど、今回は路面コンディションも悪かったとは言え、本人のミスだ。
 しかも、今までトラブルでアタックできなかったことはあっても、アタック中にミスしたことは一度も無かったのに。

 トゥルーリの予選アタックを一番楽しみにしていた自分にしてみれば、これ以上ないくらい最悪の結果だった。



 急いですっ飛んで行ったらなんと一番乗りで会場に着いてしまい(しかも開始2時間前(笑))、わしが持っていったアルバムを見ながら時間潰し。
 後から着いたラルフファンのウィルさんにおめでとうを言いに行ったら逆に『ごめんね、ごめんね』とおろおろされてしまい、
 RIHOさんには『凄い会話してない?』とつっこまれる(笑)。
 
 
 しっかし、片方PPで片方ノータイムかあ、正直、どんな顔して迎えたらいいんだか、トゥルーリなんか下手したら出てこないんじゃないの、と思っていたら、
 なんと、急遽GPDAのミーティングが入ったために2人とも欠席(汗)。
 この機会にしかドライバーに会うチャンスが無かった人には気の毒だけど、実はかなり、ほっとしていました。
 代わりに?高橋さん、ゾンタ連れてきてくれましたし。これはかなり嬉しかったです。

 が、それとこれとは別というか、高橋さんが、
 『ああいう結果に終わったけれど、限界まで頑張ってくれたヤルノにも感謝したい』
 と言った瞬間、最前列で感極まって大泣き(馬鹿)。
  (おかげでこの後、コンタクトがずれて大変だった(汗))


 オフミの写真についてはしばしお待ちを。


 オフミの後、会場近くのレストランで食事しながら雑談していたのですが、ここでも落ち込んでいたのは変わらず。
 RIHOさんとハルさん2人がかりで、『駄目な所も全部ひっくるめてヤルノなんだからしょうがない』と諭されてたんですが、
 それがわかってるからこそ余計へこむ一方で(汗)。

 ただ暴言癖は抜けていなかったようで、
 『だから、ヤルノはチームが大事にして育ててあげれば、いい仕事するようになるんですよ』(この辺うろ覚え)
 『それじゃまるっきりワインと変わらないですね
 …とか言ってその場を思い切り沈黙させたりしてましたが(汗)。


 他のお客さんがいなくなるまで(笑)喋り倒して、やっと宿へ帰還。
 ラルフがPP獲った瞬間見られなかったので、すぽるとでやってくれないかなあ、と眠い目をこすりつつ待っていたのですが、
 映ったの琢磨だけ(汗)。
 ラルフのPPなんか結果のテロップと一緒にさらっと言っただけですよ。トヨタだってジャパンパワーじゃんかよー。
 中の人が日本人なのがジャパンパワーなのかー。うえーん。(そういやジェンスが2番手だったのも殆ど触れてなかった気が)


 そしてまた、ハルさんにお風呂の順番譲ってもらってさっさと寝ていた不届き者(汗)。いやこの日は半分不貞寝に近かったかもしんない。

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